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石狩湾新港の「港湾区域」には、2024年1月に商業運転を始めた国内2例目の大規模な洋上風力発電所がある=北海道石狩市、堀篭俊材撮影

現場へ! 逆風 風力発電(5)

 山あいに広がる田園地帯を車で進むと、1基の風車が姿を現した。北海道石狩市北部の厚田区。隣接する札幌のベッドタウンである石狩市の中でも、自然豊かな地域として知られる場所だ。

 この厚田区で三つの陸上風力発電所の計画が進んでいる。実現すれば最大40基以上の風車が建つことになる。

 現地を案内してくれた石狩市の神代(くましろ)知花子市議(47)は「近くで絶滅危惧種のチュウヒの生息が確認されており、影響が心配です」と語った。

「環境保全」区域で相次ぐ風車計画

 石狩市は2019年、市内を色分けする「ゾーニング」を決めた。住民と事業者の紛争を避けるためだ。規制が厳しい「環境保全」から、条件付きで認める「調整」「導入可能」、そして積極的に導入を進める「事業性」まで、四つのエリアの概念を定めた。

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石狩市の神代知花子市議=北海道石狩市、堀篭俊材撮影

 しかし、環境や景観への影響などを考慮した結果、導入可能と事業性の両エリアは適地を指定できなかった。一方、厚田区の大半は環境保全エリアに指定されたが、風車を建てる計画が目白押しだ。

 「ゾーニングがお飾りになっ…

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